最近、寝る前に読んでいるのはイギリス人のフードライター、ミーナ・ホランドの「食べる世界地図」という本。
世界各国、各地域の食文化、食習慣、そして代表的なレシピが書かれていて、寝る前のひととき、一瞬遠くへ旅をしたような気分になれる。
この本の面白いのは、その国、その地域の食の何が、それを特徴づけているのか、ということを、明確にしようとしているところ。
それを知ることで、その国、その地域の文化のDNAがわかるのではないか、と私は思っている。
基本は、国、地域毎に書かれているのだけど、所々、ひとつのテーマで比較しているセクションがあって、興味深い。
「料理のベース」というセクションでは、野菜を刻んで炒めたソース(ペースト)を比較している。
フランス:セロリ+たまねぎ+にんじん
スペイン:たまねぎ+トマト+にんにく+パプリカ
イタリア:にんにく+たまねぎ+セロリ
ポルトガル:たまねぎ+にんにく
クレオール&ケージャン:パプリカ+セロリ+たまねぎ
カリブ:たまねぎ+トウガラシ+パプリカ
西アフリカ:トマト+トマトペースト+たまねぎ
イタリアだと、ソフリットと呼ばれるものだけど、確かにこれが味の基本になっている。
イタリア料理と言えばトマト、と思われているふしがあるけれど、実は基本には関係ない。
逆に西アフリカ料理はトマト、さらにトマトペーストまで基本になっているのは興味をひかれる。
なにごとも、基本を抑えれば、アレンジしてもそれらしさは残る。
先日、友人が各国料理を音楽に例えていて、なるほどと思った。
例えば、スペイン料理はバンドサウンド、とか。個々がどうこうじゃないけど、全体がまとまりを持って迫ってくる、みたいな。
これは、味の要素ではなく、調理のスタイルの話だけれども。
そういうイメージの引き出しをたくさん持てると、誰かにこういう感覚を味わってもらう料理、みたいな選択ができるんじゃないかな、と思って、せっせと引き出しを増やしています。